日時
2019/08/16/Fri.
Open:14:00 / Start:14:30

場所
@内幸町ホール
〒100-0011 東京都千代田区内幸町1-5-1
https://www.uchisaiwai-hall.jp

ABOUT ACOUSTICLUB Vol.4

現在のアートシーンでは、音楽と美術の両方の要素が複合的に取り入れられることが珍しくありません。もはや音楽や美術といった区別の仕方そのものが曖昧になっていると言えます。

これは、音楽や美術に限らず創作家として新しい表現や可能性を追い求める上で、必然的な状態であると思われます。
しかしながら、音楽大学に通う学生が美術の専門的な知識を獲得することは難しく、同じように美術大学に通う学生は音楽の専門的な知識を獲得するのが難しい状況にあります。これは、音楽作品を創作する者と美術作品を創作する者が交流できる機会が、非常に少ないということが原因の一つであると考えられます。

Tokyo Media Interactionはそういった現状を少しでも打開するために、創作家、演奏家、パフォーマーなどの交流の場として「ACOUSTICLUB」というプロジェクトを立ち上げました。「ACOUSTICLUB」は、様々なバックグラウンドを持った多くの若手創作家によるフェスティバルです。

ACOUSTICLUBはすでに3回開催しており、着実に進化を遂げております。今回は、前回までと違いロビーにて展示作品を上演することにより、美術作品の創作家と音楽作品の創作家のより密接な交流を目指しています。また、来場する方々が次世代を担うさまざまなアーティストの作品に触れ、更なる周知と発展へのきっかけになることを願います。

LINEUP -LIVE-

杉野晋平
原田拓実
上野壽久
RedMuffleR
鈴木智大
坂元風楽
中澤小百合
林ひかり
johnsmith
清水チャートリー
岡安啓幸
梅本佑利
小畑有史
東英絵
鈴木創大
小林夏衣
小林祥恵 + Ekaterina Kotelskaya
溝下晴久
長嶋海里
白石覚也

杉野晋平

パフォーマンスアーティスト。東京都在住、愛知県生まれ。 武蔵野美術大学造形学部芸術文化学科卒 自身の身体と自作の楽器を使用したサウンドパフォーマンスとインスタレーションを発表している。

「ヘビーウェイト」

冷蔵庫の裏側の一部にピックアップを磁石で貼り付け、冷蔵庫の作動音をアンプから出力する。冷蔵庫とアンプの間のエフェクターを操作し演奏をする。 アンプから流れる音を音作品とする。

原田拓実

東京を拠点として活動。 音を軸として創作をする。 最近ではバンドのライブアレンジ制作を行う。
Website: https://takumiharada.tumblr.com/

Chop by Products

音楽を物理的に分割する。まず最初に元となる楽曲を流し、その後その楽曲に0から9まで10個のロケータを振りあてる。そして数種類のカッターの情報(バーコード)を読み取り、情報を構築する13桁の数字に則り振りあてたロケータから楽曲を再生させる。つまり分割(Chop)し、楽曲を再構築しながら拡張してゆく。

上野壽久

2018年3月国立音楽大学演奏創作学科コンピュータ音楽専修卒業。 現在国立音楽大学院音楽研究学科作曲専攻コンピュータ音楽コース在籍。 学部時代からライブエレクトロニクスの作品の創作に取り組む。

cubialogue for snare drum, tenor saxophone and computer

本作品はテナーサックス、スネアドラムとコンピュータのためのライブエレクトロニクス作品である。 楽器パートではテナーサックスとスネアの音楽的、音響的「対話」が展開する。 コンピュータパートではMax8を用いた音声信号処理が行われ、楽器パートを追従、拡張あるいは補間することでその役割を果たす。 双方のパートが互いに作用することで作品は構成され、「キュビスム的視点に音楽を観ること」が表現される。

演奏者

Tenor saxophone : 内田しおり

徳島県出身。2歳からピアノ、12歳からサクソフォンを始める。国立音楽大学弦管打楽器専修演奏学科室内楽コース卒業。 在学中、学内オーディション合格者によるソロ・室内楽演奏会へ3年連続出演。19歳で自身初のソロリサイタル開催。2013年アメリカで行われたFrederick L.Hemke Saxophone Institute へ参加。F.ヘムケ、Tマカリスターのマスタークラス受講。 これまでに、サクソフォンを雲井雅人、荒木浩一、糀寿麗、室内楽を下地啓二、雲井雅人、滝上典彦各氏に師事。 サックスとアコーディオンのグループ『Sora Duo』として2016年第14回夢ホールコンサートにて最高位であるオーディエンス賞を受賞。受賞者によるロレアコンサートへ出演。 2016年3月東京にて初の単独コンサートを開催、各国の大使館やイベント、大学でのアウトリーチ等、積極的に活動中。 2018年8月マケドニアで行われたオフリドサマーフェスティバルへ出演。 現在、クラシック、現代音楽、ライブエレクトロニクス、和楽器やダンスとの共演等ジャンルや形態を問わず幅広く演奏活動を展開する他、後進への指導にも積極的に取り組んでいる。OKADA音楽教室講師。

Snare drum : 小山大凱

国立音楽大学卒業、付属高校在学中に学内オーディションに合格し第10回招待演奏会に出演。また、ソリストとして同校オーケストラと共演。 2016年2月、ダンサー伊藤キム氏振付、『砂の上にポツリ。』の音楽、演奏を担当。10月から即興打楽器集団La Señasに参加。また国立音楽大学Newtide Jazz Orchestraに参加し2018年度Band Masterを務め、同バンド初のツアーを成功させた。卒業後は都内を中心にジャンルを問わず活動を行なっている。

RedMuffleR

総合制作サークル「赤マフラー巻き放題」代表。

Website: https://muffler.red

 

風の味

「風の味」は、MaxとProcessingによるジェネラティブな映像作品である。音声をトリガーにして映像が自動的に生成されていく様子を記録することで制作されている。自らのこれまでの映像作品とは異なるアプローチをするため制作の過程にいくつかの実験を含み、映像中にもその痕跡が残っている。

 

鈴木智大

日本大学大学院芸術学研究科に在籍。Tokyo Media Interaction所属。心理学を学んだのち、音楽へ転向。主にコンピュータを用いた音響合成を学ぶ。音を使った「新しくてエモい」表現を模索中。これまでにinvisible designs lab.《予言》(2018)、後藤英《gravityZERO》(2019)、東京藝術大学COI若手連携『Limitless』(2019)などのほか、CM音楽の制作スタッフとして携わる。

断ち切られた声

身近な人に、大きな社会に、そして自分自身に ー 何かに抗うという経験は誰にでもあるだろうが、抗いきれなかった思いは折り合いもつけられずに胸の内に秘められもする。もしかしたら、それらの思いが溢れてしまった時に心は病んでしまうのかもしれない。また、持て余した心を安らげるために絵で、音楽で、言葉で表現し、いつかは抵抗の対象にもなり得た他者に伝えることで心を安らげてきたのかもしれない。本作は言葉で表され声として伝えられるそれらの心を、声そのものによるコミュニケーション以上に鮮明に伝えようとする試みである。

演奏者

Voice:山本果奈

2000年生まれ。日本大学芸術学部情報音楽コース在籍。 VOCALOIDと人間について考え、音楽や詩の制作に取り組んでいる。

坂元風楽

作曲家、プログラマー、メディアアート作家。1997年2月生まれ、京都府舞鶴市出身。2019年に国立音楽大学 演奏・創作学科 コンピュータ音楽専修を卒業。これまでにプログラミングを松田周氏、和声を桃井千津子氏、作曲を渡辺俊哉・古川聖・莱孝之の各氏に師事。音楽に限らず幅広い表現領域を持ち、それらを組み合わせることで全く新しい芸術表現の模索を行う。

Website: https://www.sound-fuga.com/

Ça commence

『Ça commence』は、音響通信ソリューション「Another Track(R)」を用いて制作された新感覚の芸術作品である。音でデバイスを制御することが可能な「Another Track(R)」を取り入れたことで、これまで現実的ではなかったコンサート会場などのネット通信が安定しない環境での、生演奏と複数デバイスの完全同期を実現している。 *「Another Track(R)」はエヴィクサー株式会社の登録商標です。 本作品は、専用アプリケーション『Ça commence』を使用しながら視聴して頂くことで、より一層お楽しみ頂けます。専用アプリケーション『Ça commence』は下記URLで開いたページからダウンロードが可能です。 Website: https://www.sound-fuga.com/

 演奏者

藤田颯

富山県入善町出身。富山県立呉羽高等学校卒業。現在、国立音楽大学4年在学中。中学校で吹奏楽部に入部し打楽器に出会う。同大学主催の第100回ソロ室内楽定期演奏会に出演。打楽器、マリンバを大谷多賀子、新谷祥子。ティンパニを清水太の各氏に師事。

中澤小百合

1997年生まれ。東京都出身。
現在、国立音楽大学演奏・創作学科コンピュータ音楽専修学部4年、コンピュータ音楽コース・作曲理論コースに在籍。
これまで、Leap Motionなどセンサーを用いた音と映像の作品を手がけている。

常的

この作品は、自宅近郊の場所でフィールドレコーディングした音を軸に制作した2chのテープ作品である。
幼い頃に遊んだ公園や川をはじめ、思い出深い場所をピックアップしてフィールドレコーディングを敢行した。
生活に共存する音とそれらを加工して作った音を組み合わせた。
1分ごとに揺れ動き続ける音の空間で、自身の成長の過程を表現することを試みた。

林ひかり

1995年生まれ、静岡県浜松市在住。6歳よりピアノを始め、同時にヤマハ音楽教室で作曲を学ぶ。2017年愛知県立芸術大学作曲専攻作曲コース卒業。在学中、作曲を山本裕之に師事。第18回TIAA全日本作曲家コンクール室内楽部門入選。現在は本業の傍らTwitter上のDTMのイベントに多数参加している。

Twitter ID @hikunnekotarou

Dream Candy

今流行りのVTuber、そしてそのシステムや独自に発展したソフトなどを使って新しいアート作品を作りたいと思った。この作品は、VRoidで作ったモデルをLuppetで動かし、その映像をMaxに流し込み音楽と同期させることで、リアルタイムで映像と音楽を変化させている。ポップでパステルな世界観を目指した。

johnsmith

多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース卒業。情報科学芸術大学院大学[IAMAS]メディア表現研究科修了。Universität der Künste Berlin 交換留学。Kunstuniversität Linz 交換留学。国内外で舞台表現やインスタレーション制作のテクニカル、設計などを行う傍、メディア考古学、サウンドアート、パフォーミングアート、インスタレーションなどの研究、作品制作を行う。

Website: http://johnsmithstudios.com

無題

人工生命(ALife)アルゴリズムを用い、音楽“らしきもの”を生成するこの作品は、いくつかの人工生命のシミュレーションに基づく音選択、リズムの生成などをもとに形作られている。 本作品では東京大学池上高志研究室所属の丸山典宏氏、升森敦士氏の二人の研究者の協力のもと、人工生命の理論をもとに「ありえたかもしれない生命」のアルゴリズムに基づく、人為によらない音楽の可能性を模索する。

 

清水チャートリー

1990年、大阪生まれ。国立音楽大学を首席で卒業と同時に有馬賞を受賞。奨学生として米コロンビア大学芸術大学院修士課程を修了。三菱財団フェローとして米ピッツバーグ大学での研究活動を経て、2018年、独ドレスデンに拠点を移す。アメリカや中国、ヨーロッパなどの音楽祭より委嘱を受け、作品が取り上げられている。

Website: http://www.chatorishimizu.com

大日本マニフェスト

正しいマナーって何ですか?

野中映

神奈川県逗子市出身。横須賀米軍基地内のハンバーガーショップHAYAKU INN店員、武蔵小山商店街のビデオレンタルショップ「ビデオエイジ」店員、バイク速急便「タックル」専属ライダー等を務めるかたわら、パンクバンドdomudaを率いて解散ライブと再結成ライブを繰り返してきました。domudaは2017年12月の甲府桜座ライブを最後に解散中ですが、野中は担当をヴォーカルからペルシャの楽器サントゥールに替えて新生domudaの発進を計画しています。他に国立音楽大学大学院教授として学部の「音楽文化論」「専門ゼミ」「日本語文章術」「グレゴリオ聖歌」、大学院の「テーマ別演習」等を担当しています。著書に『名曲偏愛学』(時事通信社)『音楽案内』(深夜叢書社)があります。

 

岡安啓幸

音響作家/楽器デザイナー 2016年にPROGRESSIVE FOrMよりアルバム Shin Sasakubo & Akiyuki Okayasu「invisible flickers」をリリース。 自作の制作で培われたデジタル信号処理技術を活かして、インスタレーション作品のサウンド・プログラミングやミュージシャンへの特注の楽器製作、ライブ演出システム製作を多数手がける。現在はモジュラーシンセサイザーメーカー「Groundless Electronics」の立ち上げのために奔走中。

Website: https://scrapbox.io/akiyukiokayasu/

higan

higanは一台のモジュラーシンセサイザーのための作品です。 一般的にラウドスピーカーは大きな音を出すための装置として扱われますが、限りなく小さな音を出力できる装置でもあります。ラウドスピーカーはダイナミックレンジの最も広い楽器の一つであると同時にシンセサイザーはそのポテンシャルを十分に引き出すことのできる数少ない楽器です。 higanはその特性を利用し、聴くものの感覚を研ぎ澄ませ、これまで 意識にのぼらなかった音を聴くための挑戦です。

梅本佑利

2002年東京生まれ。 2018年, 秋吉台 夏現代音楽講習会のコンサートシリーズ アンサンブル秋吉台にて, 「Automatism1a, 1b」がヴァイオリニストの松岡麻衣子によって初演され, 同年, 室内楽作品の個展を開催。その後もいくつかの新作初演を重ね, 2019年6月にはヴィブラフォン奏者, 會田瑞樹によって新作が初演された。2020年にはサンクトペテルブルクにて新作オペラが初演予定。 モスクワ音楽院作曲科マスタークラスにてイリーナ・デュプコワに学ぶ。 作曲を荻久保和明, 松下倫士, 川島素晴の各氏に師事。 現在は東京音楽大学付属高等学校 作曲科2年に在学中。

Website: https://yuriumemotojp.jimdo.com/

Sensus

僕は、ずっと前から、「視覚」と「聴覚」が同等に扱われる曲を書きたいと思っていました。今回、プログラマーの浪川洪作さんとのコラボが実現し、そのコンセプトで作曲することになりました。 映像と音楽の関係については簡単に4つのパターンに分類することができました。 ㈰映像を音楽の補助となる。 音への導入的映像として、音に付随して抽象的な映像を上映する。 ㈪音楽を映像の補助となる。 映像への導入的音楽として、映像に付随して抽象的な音楽を流す。 ㈫映像が音楽の一部になる。 映像でもって音を想像させたり、音の掛け合い等。 ㈬音楽が映像の一部になる。 音でもって映像を想像させたり、映像との掛け合い等。 それら4つを順番に行ったり、切り替えたりしていき、最終的にそれらは混合します。

VJ

浪川洪作

プログラマー, エンジニア, VJ Webの実験的な制作活動や映像のシステム作りなどを中心に様々なジャンルで制作活動を行う。また、Akihiko Matsumotoをはじめとするアーティストのアシスタントプログラマーとしても活動している。

小畑有史

1997年、埼玉県生まれ。2018年、「第49回 国立音楽大学打楽器アンサンブル 学内演奏会」にてスネア5台、3人の演奏者のための『De Nachtwacht』が初演され、本作は2019年3月10日(日)に日立システムズホール仙台 シアターホールで行われた「仙台パーカッショングループ第31回演奏会」にて再演された。音楽イベントの自主企画も積極的に行っており、2019年3月2日(土)に北千住「特火点-tochka」にて、ラッパー、電子音響音楽家らと音楽イベント『MIx』を開催した。作曲活動のほかに、これまで弦楽四重奏や英国式ブラスバンドなど、さまざまな編成のための編曲活動を行っている。現在、国立音楽大学作曲専修学部4年、現代音楽創作コース・作曲理論コースに在籍。これまで作曲を台信遼氏に、音楽理論を今村央子、佐藤岳晶、吉田真梨各氏に師事。

Vocalise

この作品は、2年前に書かれたソプラノとピアノのための同名曲をソプラノとハープのために改訂したものです。この作品に見られる、シンプルな「メロディー」に向き合う作業は私の創作活動において欠かせないものであり、私個人にとっての、「歌うこと」への歓びを素直に表したものでもあります。「ヴォカリーズ(Vocalise)」という、歌詞を伴わない歌が聴く人、一人ひとりに様々なイメージを喚起させることが出来るのなら…これほど嬉しいことはありません。

演奏者

草野七海(ソプラノ)

国立音楽大学音楽文化教育学科 音楽教育専修 声楽コースに在籍。 日本クラッシック音楽コンクール大学の部 優秀賞、全日本高等学校声楽コンクール北海道代表、カワイうたのコンクール北海道大会金賞、根室市音楽大会 第1位。 5歳からピアノと歌を、高校から声楽をはじめる。現在は大学で勉強しながら、クラッシックから童謡、ミュージカルナンバー等の幅広い曲で演奏活動を行う。

高田真理(ハープ)

1999年 横浜市出身 国立音楽大学附属中学校、高等学校 ハープ科卒業 国立音楽大学音楽教育専修、オーケストラプレイヤーコース在学中 ハープを川崎かぐや、佐藤いずみ、篠崎史子、早川りさこ各氏に師事 第16回、19回大阪国際音楽コンクール弦楽器部門ハープ入選 日本ハープ協会会員

東英絵

東京出身。東京藝術大学音楽環境創造科卒業。同大学院音楽音響創造修了。 在学中 より音楽とダンスや映像等との関係性を研究し、 ダンサーと共同制作したダンス作 品の音楽の作曲や、 映像の為の音楽を作るなどの活動をする。 2014年ニューヨーク 大学ミュージックテクノロジー科修了。

Website: http://www.hanaeazuma.com/

on a rainy day

笙とエレクトロニクスのための作品。笙の演奏以外では、声や楽器の音を素材とし て使用。光と緑を伴った、ある雨の日の一枚の写真から着想を得て作品を制作しました。

演奏者

大塚惇平

ヴォイスパフォーマンスの活動を通して笙の響きの世界と出会う。早稲田大学第一文学部卒業。音楽文化論を小沼純一氏に師事。田島和枝氏に笙の手ほどきを受ける。その後、東京藝術大学音楽学部邦楽科雅楽専攻卒業。現在、笙、右舞、歌物を豊英秋氏(元宮内庁式部職楽部首席楽長)に師事。雅楽古典の演奏・研究をベースにしつつ、現代音楽や即興演奏、他ジャンルとの交流を積極的に行う。

鈴木創大

1999 神奈川県生まれ 2019 多摩美術大学 絵画学科 油画専攻 2年在籍 絵画、インスタレーション、映像、パフォーマンスなど幅広いメディアを使い制作をしている。現象やその場性をテーマとし、プロジェクターの光など定着感の浅いメディウムを好む。また3dcgや実写を使ったプリレンダ系のVJ(ヴィジュアルジョッキー)としても活動をしている。

reflection

行為や風景と音は互いに切り離せない関係として存在している。映像のヴィジュアルを軸として空間を操作すること。それに付随して音が重なり生まれゆく風景をその場で構成していくこと。互いが侵食し合い関係性を持ち続けることで見えてくるもの

小林夏衣

1991年東京生まれ。6歳でピアノをはじめ、これまでに150以上の演奏会に出演。18歳より作曲理論を学ぶ。2016年東京音楽大学卒業。2018年より独ドレスデン音楽大学大学院に在籍。作曲をこれまでに池辺晋一郎、北爪道夫、糀場富美子、原田敬子、FranzMartin Olbrisch、Manos Tsangaris、Mark Andreの各氏に師事。2016年ダルムシュタット夏季現代音楽講習会にてBrian Ferneyhough氏の作曲ワークショップ受講生に選出。2015年東京音楽大学・独ヴュルツブルク音楽大学交流プロジェクトに参加。2015年度ピティナ新曲課題曲賞。

Website: http://www.kobayashikai.com/

ああ ヒロシマ (…)〈ヒロシマ〉といえば 〈ああ ヒロシマ〉と やさしいこたえが かえって来るためには わたしたちは わたしたちの汚れた手を きよめねばならない/ 栗原 貞子(1913-2005)

Ah, Hiroshima (…) That we may say “Hiroshima”, and hear in reply, gently, “Ah, Hiroshima”, we first must wash the blood off our own hands. / Sadako Kurihara (1913-2005)

暗闇に光が灯るのがみえたら、私たちは安心するだろう。 でも、どうにもつらいとき、誰かのたった一言に心底救われる。これも光だ。 暗闇でも誰かの助けや励ましがあったら生きていけるかもしれない。 反対に、とても明るいけれど誰も助けてくれない場所で生きていけるだろうか。 核兵器という大きな負のエネルギーに打ち勝つには、たくさんの人が一緒に手をつないで立ち向かっていかなければならないのだ。 私は、”ヒロシマ”や”パールハーバー”、”南京大虐殺”を言うかわりに、あの戦争でつらい思いをして亡くなっていった人や、あるいはこれから手を取り合っていけるかもしれない人々の名前を言いたい。

〈ヒロシマ〉というとき 〈ヒロシマ〉というとき 〈ああ ヒロシマ〉と やさしくこたえてくれるだろうか 〈ヒロシマ〉といえば〈パール・ハーバー〉 〈ヒロシマ〉といえば〈南京虐殺〉 〈ヒロシマ〉といえば 女や子供を 壕のなかにとじこめ ガソリンをかけて焼いたマニラの火刑 〈ヒロシマ〉といえば 血と炎のこだまが 返って来るのだ 〈ヒロシマ〉といえば 〈ああ ヒロシマ〉とやさしくは 返ってこない アジアの国々の死者たちや無告の民が いっせいに犯されたものの怒りを 噴き出すのだ 〈ヒロシマ〉といえば 〈ああ ヒロシマ〉と やさしくかえってくるためには 捨てた筈の武器を ほんとうに 捨てねばならない 異国の基地を撤去せねばならない その日までヒロシマは 残酷と不信のにがい都市だ 私たちは潜在する放射能に 灼かれるパリアだ 〈ヒロシマ〉といえば 〈ああ ヒロシマ〉と やさしいこたえが かえって来るためには わたしたちは わたしたちの汚れた手を きよめねばならない 栗原 貞子 (1976)

演奏者

小林夏衣、飯田淳、太田まり(オペラシアターこんにゃく座)、岡原真弓(オペラシアターこんにゃく座)、久保健司、関正明、土橋留美子、永倉由記子、藤曲悠、山本伸子(オペラシアターこんにゃく座)

小林祥恵 + Ekaterina Kotelskaya

1990年生まれ。アヴァンギャルドポップや80年代ロックのサウンドに触発され20歳より作曲を始める。青山学院大学総合文化政策学部卒業後、東京芸術大学音楽学部作曲科をアカンサス音楽賞、台東区長賞を受賞し卒業。2018年より渡欧、スイス・ジュネーブ高等音楽院(Haute école de musique de Genève)作曲科修士課程に在籍。渡欧直後より東京をはじめジュネーブ、ニューヨーク、ルガーノ、ウィーン、パリなど世界各地での作品発表が予定され、 « New Music Week2019 »(イタリア), « Ticino Musica Festival », « Immersive Sound Festival »(スイス)など各地の音楽祭等に参加、作品が演奏され高い評価を得ている。現在作曲・電子音楽をミカエル・ジャレル、ルイス・ナオン、ジルベール・ヌノに師事、またアルベルト・ポサダス、ヤン・マレシュ、ハヤ・チェルノヴィン、ベアト・フラー、ドミトリー・クルリャンツキーらの指導を受ける。日本では安良岡章夫、寺嶋陸也の各氏に師事。秋よりスイス政府優秀奨学金奨学生。また2019年度文化庁新進芸術家海外研修員として引き続きジュネーブにて研修・滞在予定。 現代音楽のみならず、近年では企業サウンドロゴやドキュメンタリー映画のサウンドトラック、電子音響音楽やエレクトロポップなど、分野にとらわれない活動を展開している。

Website: https://www.sachiekobayashi.com/

《Jeux.2.0 – Les cieux rolent des yeux》 – pour éllectroacoustique

目をまわすように我々の前に出現する音響。彼らは私の渡欧後まもなく、ジュネーブのスタジオで創り出されました。私のキャリアの中で初めてとなるエレクトロアコースティック作品は、ずっと憧れていた電子音響の世界の無機質さと、自然界の音の持つ有機的なキャラクターのずれが生み出す【歪さ】によって奇妙な世界を生み出します。この作品は私にとって、「自由にひたすら音響の海の中を泳ぐ」ために作られたものです。ですから、私は彼を「遊び(Jeux)」と名付けたのです。その後IRCAM-Spatを使用したアンビソニック作品としても発表し、今回新たにヴィデオ作品とのコラボレーションに挑戦します。

演奏者

Ekaterina Kotelskaya

1997年生まれ。現在スイスのジュネーブに拠点を置き活動する学際的アーティスト。 2018年にジュネーブ造形芸術大学(HEAD-Geneva)でビジュアルアートの学士号を取得。 現在、Contemporary Art Practicesを専門とする修士課程に在籍。彼女の作品、活動は絵画からインスタレーション、そしてサウンドまで多岐に渡る。MaxMSP / Arduinoを駆使したビデオ/サウンドプロダクションによる作品を得意とし、現在は「エキゾティズム」や「人工化」、そして「逃避」といったテーマを中心に研究分野としている。 彼女の近年の作品では、自身の創作活動の経験を重要な役割としながら、物理的空間と音の物理性の相関関係を探っている。

溝下晴久

1995年、広島県に生まれる。 2018年、日本大学芸術学部音楽科卒業。 現在は広告制作におけるインタラクションエンジニアとして働く傍ら、楽器や音響ソフトの制作、作曲等を行っている。

Website: http://www.hulc.jp

notation by sound

音楽の演奏において「作曲家」「楽譜」「指揮者」「奏者」「楽器」などの役割がある。 しかし現代ではこれらの役割は固有のものではなくその時々によってさまざまな形態をとる。 本作品ではそういった役割に着目した。 電子楽器奏者は「指揮者」または「作曲家」として電子楽器を操作し、 ギタリストは電子楽器から出力される音を「楽譜」的に解釈しギターを演奏する。

演奏者

近藤隼人 / Gt.

1995年、千葉県に生まれる 2018年、日本大学芸術学部音楽学科卒業 在学中、聴覚以外の感覚を用いた音楽作品を展示。 現在、作曲を中心に活動している。

長嶋海里

音や映像を用いた作品を手がける。 国立音楽大学演奏創作学科コンピュータ音楽専修を卒業と同時に有馬賞を受賞。 2016年よりメディアアーティスト集団Tokyo Media Interactionに在籍。 2018年、第24回学生CGコンテストアート部門にノミネート。 2019年、 ICMC-NYCEMF2019に入選。

Website: https://kairi-nagashima.net

Krum

コントラバス、チューバ、フルートと、幾つかの打楽器の音を用いて制作された電子音響作品。 作品では、録音されたそれらの楽器の音がそのまま、或いは様々な加工を経て登場する。 タイトルの「Krum」は”暗黒”を意味する「murk」という単語のアナグラムである。「murk」という単語は電子音響作品が慣習的に暗闇の中で上演され易いことに由来するが、作品内の音の選定や配置、構成などに関して、特別な意味は含まれていないことから、作品とは関係の無い単語へと変換された。

白石覚也

既存のツールに頼らず自作ソフトウェアを駆使した動的表現で、映像、MV、VJ、インタラクティブ作品など、システムレベルからの制作を手がける。また、AIとの協奏を図るオーディオビジュアルユニット「Ai.step」として、Scott Allenと共に活動している。
Website: https://kakuyashiraishi.github.io/

LiveCoding Sessions – AI and a Human interaction.

この作品は、人間のライブコーダーと音響合成プログラミング言語を学習した「AI」がともにライブコーディングを行い、演奏及びデータビジュアライズを行う実験的パフォーマンスである。AIは、条件式の繰り返しを絶え間なく提案することで、人間には思いつかないようなコードを書き、アルゴリズムとして作曲し、そのまま生演奏する。
演奏では、音響合成プログラミング言語であるTidalCyclesのコード生成と記述の部分にAIを用いており、パフォーマンス中、AIは画面上のエディターに表示されるコードを生成している。そこから生まれる演奏情報を聞き、パフォーマーは音色のコーディングをしつつ、AIの生成結果をナビゲートし、音を作り上げていく。
AIの生成結果を人間がナビゲートすることで、人間とAIの間の相互補完をライブコーディングを通じて実現する。ひとりでに書かれていくテキスト、次々に実行されていく命令により鳴る音を視覚化することで、実体のないAIの存在を想起させる。AIが人間とは異質なままそこで完全自律的に人とパフォーマンスを続けることで鑑賞者は実体のないAIの存在を理解するとともにシステムとして外部化されたAIを考えさせる。

Exhibition "Connect Down the Road"

ACOUSTICLUBというイベントはいわゆる「若手」と呼ばれる世代のアーティストが一堂に会することで、さまざまな化学反応や相互作用を呼び起こすイベントである。
 
ところで、美術の世界でこの世代はどのような特性を持っているのだろうか。
私達の世代はいわゆる「デジタルネイティブ」と言われている世代である。物心がついたとき、もしくは生まれたときからインターネットが普及していた。「インターネットの中にはなんでもある」と思っていた。しかし、親や教師からはインターネットの危険性や、匿名情報の曖昧性、”リアル”の重要性について、執拗なまでに念を押されていた記憶がある。
結果として私達は「インターネットの中にはなんでもある」という認識と、「インターネットの中にはなにもない」という矛盾した2つに認識が共存した、とても稀有な世代になったのではないだろうか。

日本のメディアアートの文脈には谷口暁彦や山形一生らを筆頭とした「ディスプレイ派」と呼ばれている作家達がいる。
ポストインターネットという時代に、多くのメディアアーティストが新たな作品媒体を探し求めた。海外では、”仮想空間”という面においてインターネットと親和性の高い、VRやARといった媒体を用いた作品が沢山発表されるようになった中、日本の多くのメディアアーティストはシンクロニシティのように「ディスプレイ」というハードウェアにフォーカスを向けた作品を作るようになった。それらの多くの作品は、実態のないインターネットの世界というものが普及したことの反作用のように存在し、「もの派」などのメディアの捉え方を踏襲しており、鑑賞者は、リアルの世界に仮想空間を投影する「ディスプレイ」というメディアそのものを再認識させられる。

私達の世代でもディスプレイを用いた作品は多く存在する。しかし、いくつかの作品を見ているうちに、これらの作品は「ディスプレイ派」の文脈にて作られた作品ではないことが多いことに気づいた。映像そのものが作品の本質であり、ディスプレイはリアルの世界において投影する際に必要な媒体として使われていた。これらの作品は、シンプルに映像を投影するだけでも成立する気がして、インターネット上で公開するだけでも十分作品として成立するのではないかという気さえする。むしろ、いろいろな余計な媒体を介在させないという意味ではインターネット上で作品を発表したほうがスマートなのではないかと思った。

これらの作品を見ているうちに「なぜ、これらの作品はわざわざディスプレイなどリアルの媒体を使ってまでして、現実に展示をする必要があったのだろうか」という疑問が生まれてくる。

そこで冒頭に記述した「世代」の話が関係しているのではないかと考えてみた。確かに我々は日常的にインターネットを使うしインターネット上で作品を知るケースも少なくない。「インターネットにはなんでもある」からだ。しかし、私達の世代はその対極にある「インターネットの中にはなにもない」という価値観も同時に持っている。つまり、逆説的に、作品が作品として現実に実態を持って存在するということに強い執着を持っているのではないだろうか。

インターネットのような仮想空間上でも成立させる作品を、わざわざハードを用いて現実空間に展示する。そのアンバランスさが美術の世界でのこの世代の特性なのかもしれないと思った。

本展示はこの我々の世代を象徴するような作品を集めた企画となっている。

LINEUP -EXHIBITION-

油原和記
小池奈緒
遠藤紘也
PMIY

油原和記

1996年生まれ。東京藝術大学映像研究科アニメーション専政在籍。フルドームに描いたアニメーション作品「MOWB」は、SSFF&ASIA2019に入選したほかJPPA2019学生映像部門最優秀賞を受賞。

Website: https://madeinyuhara.tumblr.com/

MOWB

本作品は、手描きVRアニメーション作品である。鑑賞者はヘッドマウントディスプレイを通してアニメーションを体験することができる。アニメーションによる抽象的な視野の広がりは、鑑賞者をこれまでに経験したことがない魅惑的な没入感へと誘う。このVRの閉鎖的な空間を母親の胎内として描き、胎内回帰的な物語を紡ぎだした。タイトルのMOWBが、水の上に現れると、水平軸の鏡文字として映り、この神話の一本の幹をなす「鏡写しの母娘」を象徴している。

 一本のへその緒でつながれた親子は、命のやり取りをしながら、母は吸収され、娘は母の命を引き継いで成長していく。すべてを引き継ぎ、母と一体になった娘は、母になろうと決意をするのだった。へその緒を通じて、彼女は何千回も生まれ、何千回も母を失い、新たな命を創造し続ける。

小池奈緒

1994年北海道生まれ。主な展示にセコンドハンド(akibatamabi21),ART FAIR TOKYO(artchiyoda3331,”Dog Health Club”として出展)などがある。

Website: https://koikenao.sakura.ne.jp

 

半透明になるために

How to disappear in completely

「半透明である」ということは存在するものが消えかかっている状態であると共に、存在しないものが現れかかっている状態のことを指す。
 本作は、複数のオブジェクトからなる作品であり、個々がそれぞれ自立した作品であるというわけではない。iPhoneで再生されている映像は、目の前の旗を今撮影しているわけではないが、そのiPhoneはかつて私がその旗を撮影していた時とおよそ同じ位置関係に置かれている。そのためしばしば同期したかのように見える瞬間もある。しかし、そうかと思えば次のカットに移りその 接続は解除されてしまう。このようにして本作では、中途半端に接続されかかったままのオブジェクトが点在している。このような中途半端な接続は「半透明」のような、AからBへ移行しかかっている状態を提示している。
 本作は次元の移行やその往還を操作し、そうした状態自体を浮かび上がらせることを試みるものである。

遠藤紘也

映像やインタラクティブメディアを中心にしつつも領域を限定せず扱っている。人間の五感や身体感覚に基づいた新たな表現や、メディアと現実空間の新しい関係性の実現をテーマに制作に取り組んでいる。

Website: http://hiroya-endo.net

Transmission

オブジェに触れながら映像を鑑賞することで、ディスプレイの中で起きている現象や出来事に妙なアクチュアリティ(現実み)が生まれる。

 

PMIY

1995年生まれ。多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース卒業。平面上で生きるキャラクターと三次元の空間で生きる私たちが、どのようにしてリアルなかたちで触れ合うことが出来るかをテーマとして活動。

Website: https://pmiypf.tumblr.com

サーモンちゃんのあじ

作者は平面上で生きているキャラクターと三次元の空間で生きている私たちがどのようにしてリアルな形で触れ合うことが出来るかを追求してきました。 「サーモンちゃんのあじ」ではキャラクターを食べるというキャラクターと人間による濃厚なコミュニケーションを試みました。 専用のヘッドマウントディスプレイを装着し、寿司を食べようとすると手の上にサーモンちゃんが現れます。 ARの効果と寿司の食感を組み合わせることでキャラクターを食べる体験を作りだしています。 登場するのは「サーモンちゃん」というサーモンを擬人化して生まれた作者オリジナルのキャラクターです。 サーモンちゃんは食べられる為に生まれた養殖サーモンであり、寿司になって人間に食べられることを夢見ています。 今回の展示では実食はしていただけませんが、サンプルでの体験とサーモンちゃんが食べられる様子をまとめたアーカイブの展示を致します。

Tokyo Media Interaction

ディレクション:宮本貴史

舞台監督:長嶋海里

PA:山口千晶

録音:鈴木智大

映像:しばしん

撮影:臼井達也 | 須田行紀

広報:沼澤成毅

 

SPECIAL THANKS

STAFF:
鈴木創大 | 林ひかり | 原田拓実 | 久保江裕基 | 伊藤みさこ | 坂田晶  | 上野壽久 | 小尾碧 | うしお鶏 | 小林巧 | 塩原ふみな | 江口智之 | 中澤小百合 | 東英絵 | 藤巻俊介

ロゴデザイン:
維漣

プログラム翻訳:
清水チャートリー | 小林夏衣

 

主催
Tokyo Media Interaction

協賛
株式会社セルシス
株式会社うさぎや
株式会社ピクス
株式会社エムアイセブン
カフェ&ゲームバーことぶき

問い合わせ
Tokyo Media Interaction
mail@mediainteraction.tokyo

日時
2019/08/16/Fri.
Open:14:00 / Start:14:30

場所
@内幸町ホール
〒100-0011 東京都千代田区内幸町1-5-1
https://www.uchisaiwai-hall.jp

杉野晋平
原田拓実
上野壽久
RedMuffleR
鈴木智大
坂元風楽
中澤小百合
林ひかり
johnsmith
清水チャートリー
岡安啓幸
梅本佑利
小畑有史
東英絵
鈴木創大
小林夏衣
小林祥恵 + Ekaterina Kotelskaya
溝下晴久
長嶋海里
白石覚也

杉野晋平

パフォーマンスアーティスト。東京都在住、愛知県生まれ。 武蔵野美術大学造形学部芸術文化学科卒 自身の身体と自作の楽器を使用したサウンドパフォーマンスとインスタレーションを発表している。

「ヘビーウェイト」

冷蔵庫の裏側の一部にピックアップを磁石で貼り付け、冷蔵庫の作動音をアンプから出力する。冷蔵庫とアンプの間のエフェクターを操作し演奏をする。 アンプから流れる音を音作品とする。

原田拓実

東京を拠点として活動。 音を軸として創作をする。 最近ではバンドのライブアレンジ制作を行う。
Website: https://takumiharada.tumblr.com/

Chop by Products

音楽を物理的に分割する。まず最初に元となる楽曲を流し、その後その楽曲に0から9まで10個のロケータを振りあてる。そして数種類のカッターの情報(バーコード)を読み取り、情報を構築する13桁の数字に則り振りあてたロケータから楽曲を再生させる。つまり分割(Chop)し、楽曲を再構築しながら拡張してゆく。

上野壽久

2018年3月国立音楽大学演奏創作学科コンピュータ音楽専修卒業。 現在国立音楽大学院音楽研究学科作曲専攻コンピュータ音楽コース在籍。 学部時代からライブエレクトロニクスの作品の創作に取り組む。

cubialogue for snare drum, tenor saxophone and computer

本作品はテナーサックス、スネアドラムとコンピュータのためのライブエレクトロニクス作品である。 楽器パートではテナーサックスとスネアの音楽的、音響的「対話」が展開する。 コンピュータパートではMax8を用いた音声信号処理が行われ、楽器パートを追従、拡張あるいは補間することでその役割を果たす。 双方のパートが互いに作用することで作品は構成され、「キュビスム的視点に音楽を観ること」が表現される。

演奏者

Tenor saxophone : 内田しおり

徳島県出身。2歳からピアノ、12歳からサクソフォンを始める。国立音楽大学弦管打楽器専修演奏学科室内楽コース卒業。 在学中、学内オーディション合格者によるソロ・室内楽演奏会へ3年連続出演。19歳で自身初のソロリサイタル開催。2013年アメリカで行われたFrederick L.Hemke Saxophone Institute へ参加。F.ヘムケ、Tマカリスターのマスタークラス受講。 これまでに、サクソフォンを雲井雅人、荒木浩一、糀寿麗、室内楽を下地啓二、雲井雅人、滝上典彦各氏に師事。 サックスとアコーディオンのグループ『Sora Duo』として2016年第14回夢ホールコンサートにて最高位であるオーディエンス賞を受賞。受賞者によるロレアコンサートへ出演。 2016年3月東京にて初の単独コンサートを開催、各国の大使館やイベント、大学でのアウトリーチ等、積極的に活動中。 2018年8月マケドニアで行われたオフリドサマーフェスティバルへ出演。 現在、クラシック、現代音楽、ライブエレクトロニクス、和楽器やダンスとの共演等ジャンルや形態を問わず幅広く演奏活動を展開する他、後進への指導にも積極的に取り組んでいる。OKADA音楽教室講師。

Snare drum : 小山大凱

国立音楽大学卒業、付属高校在学中に学内オーディションに合格し第10回招待演奏会に出演。また、ソリストとして同校オーケストラと共演。 2016年2月、ダンサー伊藤キム氏振付、『砂の上にポツリ。』の音楽、演奏を担当。10月から即興打楽器集団La Señasに参加。また国立音楽大学Newtide Jazz Orchestraに参加し2018年度Band Masterを務め、同バンド初のツアーを成功させた。卒業後は都内を中心にジャンルを問わず活動を行なっている。

RedMuffleR

総合制作サークル「赤マフラー巻き放題」代表。

Website: https://muffler.red

 

風の味

「風の味」は、MaxとProcessingによるジェネラティブな映像作品である。音声をトリガーにして映像が自動的に生成されていく様子を記録することで制作されている。自らのこれまでの映像作品とは異なるアプローチをするため制作の過程にいくつかの実験を含み、映像中にもその痕跡が残っている。

 

鈴木智大

日本大学大学院芸術学研究科に在籍。Tokyo Media Interaction所属。心理学を学んだのち、音楽へ転向。主にコンピュータを用いた音響合成を学ぶ。音を使った「新しくてエモい」表現を模索中。これまでにinvisible designs lab.《予言》(2018)、後藤英《gravityZERO》(2019)、東京藝術大学COI若手連携『Limitless』(2019)などのほか、CM音楽の制作スタッフとして携わる。

断ち切られた声

身近な人に、大きな社会に、そして自分自身に ー 何かに抗うという経験は誰にでもあるだろうが、抗いきれなかった思いは折り合いもつけられずに胸の内に秘められもする。もしかしたら、それらの思いが溢れてしまった時に心は病んでしまうのかもしれない。また、持て余した心を安らげるために絵で、音楽で、言葉で表現し、いつかは抵抗の対象にもなり得た他者に伝えることで心を安らげてきたのかもしれない。本作は言葉で表され声として伝えられるそれらの心を、声そのものによるコミュニケーション以上に鮮明に伝えようとする試みである。

演奏者

Voice:山本果奈

2000年生まれ。日本大学芸術学部情報音楽コース在籍。 VOCALOIDと人間について考え、音楽や詩の制作に取り組んでいる。

坂元風楽

作曲家、プログラマー、メディアアート作家。1997年2月生まれ、京都府舞鶴市出身。2019年に国立音楽大学 演奏・創作学科 コンピュータ音楽専修を卒業。これまでにプログラミングを松田周氏、和声を桃井千津子氏、作曲を渡辺俊哉・古川聖・莱孝之の各氏に師事。音楽に限らず幅広い表現領域を持ち、それらを組み合わせることで全く新しい芸術表現の模索を行う。

Website: https://www.sound-fuga.com/

Ça commence

『Ça commence』は、音響通信ソリューション「Another Track(R)」を用いて制作された新感覚の芸術作品である。音でデバイスを制御することが可能な「Another Track(R)」を取り入れたことで、これまで現実的ではなかったコンサート会場などのネット通信が安定しない環境での、生演奏と複数デバイスの完全同期を実現している。 *「Another Track(R)」はエヴィクサー株式会社の登録商標です。 本作品は、専用アプリケーション『Ça commence』を使用しながら視聴して頂くことで、より一層お楽しみ頂けます。専用アプリケーション『Ça commence』は下記URLで開いたページからダウンロードが可能です。 Website: https://www.sound-fuga.com/

 演奏者

藤田颯

富山県入善町出身。富山県立呉羽高等学校卒業。現在、国立音楽大学4年在学中。中学校で吹奏楽部に入部し打楽器に出会う。同大学主催の第100回ソロ室内楽定期演奏会に出演。打楽器、マリンバを大谷多賀子、新谷祥子。ティンパニを清水太の各氏に師事。

中澤小百合

1997年生まれ。東京都出身。
現在、国立音楽大学演奏・創作学科コンピュータ音楽専修学部4年、コンピュータ音楽コース・作曲理論コースに在籍。
これまで、Leap Motionなどセンサーを用いた音と映像の作品を手がけている。

常的

この作品は、自宅近郊の場所でフィールドレコーディングした音を軸に制作した2chのテープ作品である。
幼い頃に遊んだ公園や川をはじめ、思い出深い場所をピックアップしてフィールドレコーディングを敢行した。
生活に共存する音とそれらを加工して作った音を組み合わせた。
1分ごとに揺れ動き続ける音の空間で、自身の成長の過程を表現することを試みた。

林ひかり

1995年生まれ、静岡県浜松市在住。6歳よりピアノを始め、同時にヤマハ音楽教室で作曲を学ぶ。2017年愛知県立芸術大学作曲専攻作曲コース卒業。在学中、作曲を山本裕之に師事。第18回TIAA全日本作曲家コンクール室内楽部門入選。現在は本業の傍らTwitter上のDTMのイベントに多数参加している。

Twitter ID @hikunnekotarou

Dream Candy

今流行りのVTuber、そしてそのシステムや独自に発展したソフトなどを使って新しいアート作品を作りたいと思った。この作品は、VRoidで作ったモデルをLuppetで動かし、その映像をMaxに流し込み音楽と同期させることで、リアルタイムで映像と音楽を変化させている。ポップでパステルな世界観を目指した。

johnsmith

多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース卒業。情報科学芸術大学院大学[IAMAS]メディア表現研究科修了。Universität der Künste Berlin 交換留学。Kunstuniversität Linz 交換留学。国内外で舞台表現やインスタレーション制作のテクニカル、設計などを行う傍、メディア考古学、サウンドアート、パフォーミングアート、インスタレーションなどの研究、作品制作を行う。

Website: http://johnsmithstudios.com

無題

人工生命(ALife)アルゴリズムを用い、音楽“らしきもの”を生成するこの作品は、いくつかの人工生命のシミュレーションに基づく音選択、リズムの生成などをもとに形作られている。 本作品では東京大学池上高志研究室所属の丸山典宏氏、升森敦士氏の二人の研究者の協力のもと、人工生命の理論をもとに「ありえたかもしれない生命」のアルゴリズムに基づく、人為によらない音楽の可能性を模索する。

 

清水チャートリー

1990年、大阪生まれ。国立音楽大学を首席で卒業と同時に有馬賞を受賞。奨学生として米コロンビア大学芸術大学院修士課程を修了。三菱財団フェローとして米ピッツバーグ大学での研究活動を経て、2018年、独ドレスデンに拠点を移す。アメリカや中国、ヨーロッパなどの音楽祭より委嘱を受け、作品が取り上げられている。

Website: http://www.chatorishimizu.com

大日本マニフェスト

正しいマナーって何ですか?

野中映

神奈川県逗子市出身。横須賀米軍基地内のハンバーガーショップHAYAKU INN店員、武蔵小山商店街のビデオレンタルショップ「ビデオエイジ」店員、バイク速急便「タックル」専属ライダー等を務めるかたわら、パンクバンドdomudaを率いて解散ライブと再結成ライブを繰り返してきました。domudaは2017年12月の甲府桜座ライブを最後に解散中ですが、野中は担当をヴォーカルからペルシャの楽器サントゥールに替えて新生domudaの発進を計画しています。他に国立音楽大学大学院教授として学部の「音楽文化論」「専門ゼミ」「日本語文章術」「グレゴリオ聖歌」、大学院の「テーマ別演習」等を担当しています。著書に『名曲偏愛学』(時事通信社)『音楽案内』(深夜叢書社)があります。

 

岡安啓幸

音響作家/楽器デザイナー 2016年にPROGRESSIVE FOrMよりアルバム Shin Sasakubo & Akiyuki Okayasu「invisible flickers」をリリース。 自作の制作で培われたデジタル信号処理技術を活かして、インスタレーション作品のサウンド・プログラミングやミュージシャンへの特注の楽器製作、ライブ演出システム製作を多数手がける。現在はモジュラーシンセサイザーメーカー「Groundless Electronics」の立ち上げのために奔走中。

Website: https://scrapbox.io/akiyukiokayasu/

higan

higanは一台のモジュラーシンセサイザーのための作品です。 一般的にラウドスピーカーは大きな音を出すための装置として扱われますが、限りなく小さな音を出力できる装置でもあります。ラウドスピーカーはダイナミックレンジの最も広い楽器の一つであると同時にシンセサイザーはそのポテンシャルを十分に引き出すことのできる数少ない楽器です。 higanはその特性を利用し、聴くものの感覚を研ぎ澄ませ、これまで 意識にのぼらなかった音を聴くための挑戦です。

梅本佑利

2002年東京生まれ。 2018年, 秋吉台 夏現代音楽講習会のコンサートシリーズ アンサンブル秋吉台にて, 「Automatism1a, 1b」がヴァイオリニストの松岡麻衣子によって初演され, 同年, 室内楽作品の個展を開催。その後もいくつかの新作初演を重ね, 2019年6月にはヴィブラフォン奏者, 會田瑞樹によって新作が初演された。2020年にはサンクトペテルブルクにて新作オペラが初演予定。 モスクワ音楽院作曲科マスタークラスにてイリーナ・デュプコワに学ぶ。 作曲を荻久保和明, 松下倫士, 川島素晴の各氏に師事。 現在は東京音楽大学付属高等学校 作曲科2年に在学中。

Website: https://yuriumemotojp.jimdo.com/

Sensus

僕は、ずっと前から、「視覚」と「聴覚」が同等に扱われる曲を書きたいと思っていました。今回、プログラマーの浪川洪作さんとのコラボが実現し、そのコンセプトで作曲することになりました。 映像と音楽の関係については簡単に4つのパターンに分類することができました。 ㈰映像を音楽の補助となる。 音への導入的映像として、音に付随して抽象的な映像を上映する。 ㈪音楽を映像の補助となる。 映像への導入的音楽として、映像に付随して抽象的な音楽を流す。 ㈫映像が音楽の一部になる。 映像でもって音を想像させたり、音の掛け合い等。 ㈬音楽が映像の一部になる。 音でもって映像を想像させたり、映像との掛け合い等。 それら4つを順番に行ったり、切り替えたりしていき、最終的にそれらは混合します。

VJ

浪川洪作

プログラマー, エンジニア, VJ Webの実験的な制作活動や映像のシステム作りなどを中心に様々なジャンルで制作活動を行う。また、Akihiko Matsumotoをはじめとするアーティストのアシスタントプログラマーとしても活動している。

小畑有史

1997年、埼玉県生まれ。2018年、「第49回 国立音楽大学打楽器アンサンブル 学内演奏会」にてスネア5台、3人の演奏者のための『De Nachtwacht』が初演され、本作は2019年3月10日(日)に日立システムズホール仙台 シアターホールで行われた「仙台パーカッショングループ第31回演奏会」にて再演された。音楽イベントの自主企画も積極的に行っており、2019年3月2日(土)に北千住「特火点-tochka」にて、ラッパー、電子音響音楽家らと音楽イベント『MIx』を開催した。作曲活動のほかに、これまで弦楽四重奏や英国式ブラスバンドなど、さまざまな編成のための編曲活動を行っている。現在、国立音楽大学作曲専修学部4年、現代音楽創作コース・作曲理論コースに在籍。これまで作曲を台信遼氏に、音楽理論を今村央子、佐藤岳晶、吉田真梨各氏に師事。

Vocalise

この作品は、2年前に書かれたソプラノとピアノのための同名曲をソプラノとハープのために改訂したものです。この作品に見られる、シンプルな「メロディー」に向き合う作業は私の創作活動において欠かせないものであり、私個人にとっての、「歌うこと」への歓びを素直に表したものでもあります。「ヴォカリーズ(Vocalise)」という、歌詞を伴わない歌が聴く人、一人ひとりに様々なイメージを喚起させることが出来るのなら…これほど嬉しいことはありません。

演奏者

草野七海(ソプラノ)

国立音楽大学音楽文化教育学科 音楽教育専修 声楽コースに在籍。 日本クラッシック音楽コンクール大学の部 優秀賞、全日本高等学校声楽コンクール北海道代表、カワイうたのコンクール北海道大会金賞、根室市音楽大会 第1位。 5歳からピアノと歌を、高校から声楽をはじめる。現在は大学で勉強しながら、クラッシックから童謡、ミュージカルナンバー等の幅広い曲で演奏活動を行う。

高田真理(ハープ)

1999年 横浜市出身 国立音楽大学附属中学校、高等学校 ハープ科卒業 国立音楽大学音楽教育専修、オーケストラプレイヤーコース在学中 ハープを川崎かぐや、佐藤いずみ、篠崎史子、早川りさこ各氏に師事 第16回、19回大阪国際音楽コンクール弦楽器部門ハープ入選 日本ハープ協会会員

東英絵

東京出身。東京藝術大学音楽環境創造科卒業。同大学院音楽音響創造修了。 在学中 より音楽とダンスや映像等との関係性を研究し、 ダンサーと共同制作したダンス作 品の音楽の作曲や、 映像の為の音楽を作るなどの活動をする。 2014年ニューヨーク 大学ミュージックテクノロジー科修了。

Website: http://www.hanaeazuma.com/

on a rainy day

笙とエレクトロニクスのための作品。笙の演奏以外では、声や楽器の音を素材とし て使用。光と緑を伴った、ある雨の日の一枚の写真から着想を得て作品を制作しました。

演奏者

大塚惇平

ヴォイスパフォーマンスの活動を通して笙の響きの世界と出会う。早稲田大学第一文学部卒業。音楽文化論を小沼純一氏に師事。田島和枝氏に笙の手ほどきを受ける。その後、東京藝術大学音楽学部邦楽科雅楽専攻卒業。現在、笙、右舞、歌物を豊英秋氏(元宮内庁式部職楽部首席楽長)に師事。雅楽古典の演奏・研究をベースにしつつ、現代音楽や即興演奏、他ジャンルとの交流を積極的に行う。

鈴木創大

1999 神奈川県生まれ 2019 多摩美術大学 絵画学科 油画専攻 2年在籍 絵画、インスタレーション、映像、パフォーマンスなど幅広いメディアを使い制作をしている。現象やその場性をテーマとし、プロジェクターの光など定着感の浅いメディウムを好む。また3dcgや実写を使ったプリレンダ系のVJ(ヴィジュアルジョッキー)としても活動をしている。

reflection

行為や風景と音は互いに切り離せない関係として存在している。映像のヴィジュアルを軸として空間を操作すること。それに付随して音が重なり生まれゆく風景をその場で構成していくこと。互いが侵食し合い関係性を持ち続けることで見えてくるもの

小林夏衣

1991年東京生まれ。6歳でピアノをはじめ、これまでに150以上の演奏会に出演。18歳より作曲理論を学ぶ。2016年東京音楽大学卒業。2018年より独ドレスデン音楽大学大学院に在籍。作曲をこれまでに池辺晋一郎、北爪道夫、糀場富美子、原田敬子、FranzMartin Olbrisch、Manos Tsangaris、Mark Andreの各氏に師事。2016年ダルムシュタット夏季現代音楽講習会にてBrian Ferneyhough氏の作曲ワークショップ受講生に選出。2015年東京音楽大学・独ヴュルツブルク音楽大学交流プロジェクトに参加。2015年度ピティナ新曲課題曲賞。

Website: http://www.kobayashikai.com/

ああ ヒロシマ (…)〈ヒロシマ〉といえば 〈ああ ヒロシマ〉と やさしいこたえが かえって来るためには わたしたちは わたしたちの汚れた手を きよめねばならない/ 栗原 貞子(1913-2005)

Ah, Hiroshima (…) That we may say “Hiroshima”, and hear in reply, gently, “Ah, Hiroshima”, we first must wash the blood off our own hands. / Sadako Kurihara (1913-2005)

暗闇に光が灯るのがみえたら、私たちは安心するだろう。 でも、どうにもつらいとき、誰かのたった一言に心底救われる。これも光だ。 暗闇でも誰かの助けや励ましがあったら生きていけるかもしれない。 反対に、とても明るいけれど誰も助けてくれない場所で生きていけるだろうか。 核兵器という大きな負のエネルギーに打ち勝つには、たくさんの人が一緒に手をつないで立ち向かっていかなければならないのだ。 私は、”ヒロシマ”や”パールハーバー”、”南京大虐殺”を言うかわりに、あの戦争でつらい思いをして亡くなっていった人や、あるいはこれから手を取り合っていけるかもしれない人々の名前を言いたい。

〈ヒロシマ〉というとき 〈ヒロシマ〉というとき 〈ああ ヒロシマ〉と やさしくこたえてくれるだろうか 〈ヒロシマ〉といえば〈パール・ハーバー〉 〈ヒロシマ〉といえば〈南京虐殺〉 〈ヒロシマ〉といえば 女や子供を 壕のなかにとじこめ ガソリンをかけて焼いたマニラの火刑 〈ヒロシマ〉といえば 血と炎のこだまが 返って来るのだ 〈ヒロシマ〉といえば 〈ああ ヒロシマ〉とやさしくは 返ってこない アジアの国々の死者たちや無告の民が いっせいに犯されたものの怒りを 噴き出すのだ 〈ヒロシマ〉といえば 〈ああ ヒロシマ〉と やさしくかえってくるためには 捨てた筈の武器を ほんとうに 捨てねばならない 異国の基地を撤去せねばならない その日までヒロシマは 残酷と不信のにがい都市だ 私たちは潜在する放射能に 灼かれるパリアだ 〈ヒロシマ〉といえば 〈ああ ヒロシマ〉と やさしいこたえが かえって来るためには わたしたちは わたしたちの汚れた手を きよめねばならない 栗原 貞子 (1976)

演奏者

小林夏衣、飯田淳、太田まり(オペラシアターこんにゃく座)、岡原真弓(オペラシアターこんにゃく座)、久保健司、関正明、土橋留美子、永倉由記子、藤曲悠、山本伸子(オペラシアターこんにゃく座)

小林祥恵 + Ekaterina Kotelskaya

1990年生まれ。アヴァンギャルドポップや80年代ロックのサウンドに触発され20歳より作曲を始める。青山学院大学総合文化政策学部卒業後、東京芸術大学音楽学部作曲科をアカンサス音楽賞、台東区長賞を受賞し卒業。2018年より渡欧、スイス・ジュネーブ高等音楽院(Haute école de musique de Genève)作曲科修士課程に在籍。渡欧直後より東京をはじめジュネーブ、ニューヨーク、ルガーノ、ウィーン、パリなど世界各地での作品発表が予定され、 « New Music Week2019 »(イタリア), « Ticino Musica Festival », « Immersive Sound Festival »(スイス)など各地の音楽祭等に参加、作品が演奏され高い評価を得ている。現在作曲・電子音楽をミカエル・ジャレル、ルイス・ナオン、ジルベール・ヌノに師事、またアルベルト・ポサダス、ヤン・マレシュ、ハヤ・チェルノヴィン、ベアト・フラー、ドミトリー・クルリャンツキーらの指導を受ける。日本では安良岡章夫、寺嶋陸也の各氏に師事。秋よりスイス政府優秀奨学金奨学生。また2019年度文化庁新進芸術家海外研修員として引き続きジュネーブにて研修・滞在予定。 現代音楽のみならず、近年では企業サウンドロゴやドキュメンタリー映画のサウンドトラック、電子音響音楽やエレクトロポップなど、分野にとらわれない活動を展開している。

Website: https://www.sachiekobayashi.com/

《Jeux.2.0 – Les cieux rolent des yeux》 – pour éllectroacoustique

目をまわすように我々の前に出現する音響。彼らは私の渡欧後まもなく、ジュネーブのスタジオで創り出されました。私のキャリアの中で初めてとなるエレクトロアコースティック作品は、ずっと憧れていた電子音響の世界の無機質さと、自然界の音の持つ有機的なキャラクターのずれが生み出す【歪さ】によって奇妙な世界を生み出します。この作品は私にとって、「自由にひたすら音響の海の中を泳ぐ」ために作られたものです。ですから、私は彼を「遊び(Jeux)」と名付けたのです。その後IRCAM-Spatを使用したアンビソニック作品としても発表し、今回新たにヴィデオ作品とのコラボレーションに挑戦します。

演奏者

Ekaterina Kotelskaya

1997年生まれ。現在スイスのジュネーブに拠点を置き活動する学際的アーティスト。 2018年にジュネーブ造形芸術大学(HEAD-Geneva)でビジュアルアートの学士号を取得。 現在、Contemporary Art Practicesを専門とする修士課程に在籍。彼女の作品、活動は絵画からインスタレーション、そしてサウンドまで多岐に渡る。MaxMSP / Arduinoを駆使したビデオ/サウンドプロダクションによる作品を得意とし、現在は「エキゾティズム」や「人工化」、そして「逃避」といったテーマを中心に研究分野としている。 彼女の近年の作品では、自身の創作活動の経験を重要な役割としながら、物理的空間と音の物理性の相関関係を探っている。

溝下晴久

1995年、広島県に生まれる。 2018年、日本大学芸術学部音楽科卒業。 現在は広告制作におけるインタラクションエンジニアとして働く傍ら、楽器や音響ソフトの制作、作曲等を行っている。

Website: http://www.hulc.jp

notation by sound

音楽の演奏において「作曲家」「楽譜」「指揮者」「奏者」「楽器」などの役割がある。 しかし現代ではこれらの役割は固有のものではなくその時々によってさまざまな形態をとる。 本作品ではそういった役割に着目した。 電子楽器奏者は「指揮者」または「作曲家」として電子楽器を操作し、 ギタリストは電子楽器から出力される音を「楽譜」的に解釈しギターを演奏する。

演奏者

近藤隼人 / Gt.

1995年、千葉県に生まれる 2018年、日本大学芸術学部音楽学科卒業 在学中、聴覚以外の感覚を用いた音楽作品を展示。 現在、作曲を中心に活動している。

長嶋海里

音や映像を用いた作品を手がける。 国立音楽大学演奏創作学科コンピュータ音楽専修を卒業と同時に有馬賞を受賞。 2016年よりメディアアーティスト集団Tokyo Media Interactionに在籍。 2018年、第24回学生CGコンテストアート部門にノミネート。 2019年、 ICMC-NYCEMF2019に入選。

Website: https://kairi-nagashima.net

Krum

コントラバス、チューバ、フルートと、幾つかの打楽器の音を用いて制作された電子音響作品。 作品では、録音されたそれらの楽器の音がそのまま、或いは様々な加工を経て登場する。 タイトルの「Krum」は”暗黒”を意味する「murk」という単語のアナグラムである。「murk」という単語は電子音響作品が慣習的に暗闇の中で上演され易いことに由来するが、作品内の音の選定や配置、構成などに関して、特別な意味は含まれていないことから、作品とは関係の無い単語へと変換された。

白石覚也

既存のツールに頼らず自作ソフトウェアを駆使した動的表現で、映像、MV、VJ、インタラクティブ作品など、システムレベルからの制作を手がける。また、AIとの協奏を図るオーディオビジュアルユニット「Ai.step」として、Scott Allenと共に活動している。
Website: https://kakuyashiraishi.github.io/

LiveCoding Sessions – AI and a Human interaction.

この作品は、人間のライブコーダーと音響合成プログラミング言語を学習した「AI」がともにライブコーディングを行い、演奏及びデータビジュアライズを行う実験的パフォーマンスである。AIは、条件式の繰り返しを絶え間なく提案することで、人間には思いつかないようなコードを書き、アルゴリズムとして作曲し、そのまま生演奏する。
演奏では、音響合成プログラミング言語であるTidalCyclesのコード生成と記述の部分にAIを用いており、パフォーマンス中、AIは画面上のエディターに表示されるコードを生成している。そこから生まれる演奏情報を聞き、パフォーマーは音色のコーディングをしつつ、AIの生成結果をナビゲートし、音を作り上げていく。
AIの生成結果を人間がナビゲートすることで、人間とAIの間の相互補完をライブコーディングを通じて実現する。ひとりでに書かれていくテキスト、次々に実行されていく命令により鳴る音を視覚化することで、実体のないAIの存在を想起させる。AIが人間とは異質なままそこで完全自律的に人とパフォーマンスを続けることで鑑賞者は実体のないAIの存在を理解するとともにシステムとして外部化されたAIを考えさせる。

油原和記
小池奈緒
遠藤紘也
PMIY

油原和記

1996年生まれ。東京藝術大学映像研究科アニメーション専政在籍。フルドームに描いたアニメーション作品「MOWB」は、SSFF&ASIA2019に入選したほかJPPA2019学生映像部門最優秀賞を受賞。

Website: https://madeinyuhara.tumblr.com/

MOWB

本作品は、手描きVRアニメーション作品である。鑑賞者はヘッドマウントディスプレイを通してアニメーションを体験することができる。アニメーションによる抽象的な視野の広がりは、鑑賞者をこれまでに経験したことがない魅惑的な没入感へと誘う。このVRの閉鎖的な空間を母親の胎内として描き、胎内回帰的な物語を紡ぎだした。タイトルのMOWBが、水の上に現れると、水平軸の鏡文字として映り、この神話の一本の幹をなす「鏡写しの母娘」を象徴している。

 一本のへその緒でつながれた親子は、命のやり取りをしながら、母は吸収され、娘は母の命を引き継いで成長していく。すべてを引き継ぎ、母と一体になった娘は、母になろうと決意をするのだった。へその緒を通じて、彼女は何千回も生まれ、何千回も母を失い、新たな命を創造し続ける。

小池奈緒

1994年北海道生まれ。主な展示にセコンドハンド(akibatamabi21),ART FAIR TOKYO(artchiyoda3331,”Dog Health Club”として出展)などがある。

Website: https://koikenao.sakura.ne.jp

 

半透明になるために

How to disappear in completely

「半透明である」ということは存在するものが消えかかっている状態であると共に、存在しないものが現れかかっている状態のことを指す。
 本作は、複数のオブジェクトからなる作品であり、個々がそれぞれ自立した作品であるというわけではない。iPhoneで再生されている映像は、目の前の旗を今撮影しているわけではないが、そのiPhoneはかつて私がその旗を撮影していた時とおよそ同じ位置関係に置かれている。そのためしばしば同期したかのように見える瞬間もある。しかし、そうかと思えば次のカットに移りその 接続は解除されてしまう。このようにして本作では、中途半端に接続されかかったままのオブジェクトが点在している。このような中途半端な接続は「半透明」のような、AからBへ移行しかかっている状態を提示している。
 本作は次元の移行やその往還を操作し、そうした状態自体を浮かび上がらせることを試みるものである。

遠藤紘也

映像やインタラクティブメディアを中心にしつつも領域を限定せず扱っている。人間の五感や身体感覚に基づいた新たな表現や、メディアと現実空間の新しい関係性の実現をテーマに制作に取り組んでいる。

Website: http://hiroya-endo.net

Transmission

オブジェに触れながら映像を鑑賞することで、ディスプレイの中で起きている現象や出来事に妙なアクチュアリティ(現実み)が生まれる。

 

PMIY

1995年生まれ。多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース卒業。平面上で生きるキャラクターと三次元の空間で生きる私たちが、どのようにしてリアルなかたちで触れ合うことが出来るかをテーマとして活動。

Website: https://pmiypf.tumblr.com

サーモンちゃんのあじ

作者は平面上で生きているキャラクターと三次元の空間で生きている私たちがどのようにしてリアルな形で触れ合うことが出来るかを追求してきました。 「サーモンちゃんのあじ」ではキャラクターを食べるというキャラクターと人間による濃厚なコミュニケーションを試みました。 専用のヘッドマウントディスプレイを装着し、寿司を食べようとすると手の上にサーモンちゃんが現れます。 ARの効果と寿司の食感を組み合わせることでキャラクターを食べる体験を作りだしています。 登場するのは「サーモンちゃん」というサーモンを擬人化して生まれた作者オリジナルのキャラクターです。 サーモンちゃんは食べられる為に生まれた養殖サーモンであり、寿司になって人間に食べられることを夢見ています。 今回の展示では実食はしていただけませんが、サンプルでの体験とサーモンちゃんが食べられる様子をまとめたアーカイブの展示を致します。

主催
Tokyo Media Interaction

協賛
株式会社セルシス
株式会社うさぎや
株式会社ピクス
株式会社エムアイセブン
カフェ&ゲームバーことぶき

問い合わせ
Tokyo Media Interaction
mail@mediainteraction.tokyo

Tokyo Media Interaction

ディレクション:宮本貴史

舞台監督:長嶋海里

PA:山口千晶

録音:鈴木智大

映像:しばしん

撮影:臼井達也 | 須田行紀

広報:沼澤成毅

 

SPECIAL THANKS

STAFF:
上野壽久 | 小林巧 | 東英絵 | 中澤小百合 | 藤巻俊介 | 久保江裕基 | 小尾碧 | 塩原文菜 | 林ひかり | 原田拓実

ロゴデザイン:
維漣

プログラム翻訳:
清水チャートリー | 小林夏衣