歌曲《雨の歌》

『歌曲《雨の歌》』

この曲は詩人である高田敏子の詩集『砂漠のロバ』より《雨の花》から着想を得て作曲した。
私にとって初めて作曲した歌曲であり、自身の作風と詩から伝わるインスピレーションを
どのようにして文字から音楽として表現することが適切であるのか非常に悩んだ。
また歌と伴奏といった概念ではなく、それぞれが独立性を有し、異なる性質や特徴、
個性を持った声部を組み合わせたものとしての音響の空間を構築した。

 

歌詞

このごろ旅に出ると雨になって雨にぬれる花ばかり見ている

ぼたん園を訪れた日も前日からの雨は降り続き

花は雨の滴を重たげにためていた

咲き開いた花はもうつぼみにもどることはできない

私が触れると花は耐えていた滴をどっとこぼして私の手をぬらした

一輪一輪の花に触れながら私は手をぬらしてゆく

それはこころよい行為だった

私の手はこうしてぬれることを待ち望んでいたのか

涙で手を濡らすこともなくなってもう長い年月がすぎている

涙を忘れてしまったとき人はどのように変わってゆくか

私の手は醜く乾いていた

 

 

Composition : 橋本好弘
Vocal : 河田まりか
Piano : 山本春佳

録音・録画:TOKYO MEDIA INTERACTION