概して、古典芸能の表現者は、歴史上に理想と定められた時点を切り取った、
既存のスタイルを用いる。新たな時代に左右されず、明確に見える過去を背負い、
永遠に完成されないかもしれないものを一途に目指す、求道者といえる。

一方で、新たな体験やコンセプトを模索する現代アートの表現者は、
最先端の表現者として現在に位置するが、本質的に技術の進歩からは免れ得ない宿命にあり、
明確に見えない未来への好奇心を備えた、探求者といえる。

勿論、両者の性質をハイブリッドな形で取り込むアーティストも存在する。

大胆な大別をしてしまったが、その理由は、
今回の公演は、この二者のどちらかにカテゴライズされるであろう稀有で純粋な人間達による、
彼らが、そうせざるを得ない表現同士の生々しい同居と格闘の場であるからだ。

本公演が標榜する「コントラプンクトゥス」とは、この場の仕掛のことである。
それは、それぞれが独立して「進行」する旋律を組み合わせる音楽的手法の事ではなく、
音楽と音、絵と映像が、「侵攻」し合いながらも共存するための時空間を意味する。
それは、単に映像と音楽のコラボレーションといったような、行儀の良いものでは終わらない事は明らかである。
伝統芸能(古典的手法)と現代アートが、これほどまでに密接に膠着しつつも暴れ狂う仕掛は、
この「コントラプンクトゥス」をおいて、他に無いであろう。
それは決して「歩み寄り」では無い。

小難しい事はさておき、当日、オーディエンスは思考を停止しても良い。
幾千枚の紙による血の滲むようなアニメーションと、猛烈な質量で迫るMAXMSPによるジェネラティブアート。
そこで行われる東西の古楽器と、電子音響の歪な会話。
それら心地よい違和感が、我々の脳髄の原始的な部分を存分に刺激するであろう。

過去をみる求道者と、未来をみる探求者。両者の目が合う瞬間、なにがおこるか。目撃せよ。

映像と音楽のコントラプンクトゥス

イベント日時
2019年11月17日

開催場所
トーキョーコンサーツ・ラボ
〒169-0051 東京都新宿区西早稲田2-3-18

チケット
前売り2500円 | 当日3000円
+ワンドリンクオーダー(500円)

お問い合わせ
contrapunctus2019@gmail.com

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