ACOUSTICLUB Vol.3 Archive

Izanagi - Jean-Patrick Besingrand

作品解説
アーティスト紹介

Izanagi

《Izanagi》は、日本神話に登場するイザナギから着想を得た作品である。ご存知の通り、神話ではイザナギとイザナミが現在ある日本列島を生み出したと言われている。国造りの神話によると、淡路島を始め、四国や九州など、それぞれの島を治めるため、イザナミは、大勢の神様を産み出したが、火の神を産んだ際に大やけどをして亡くなってしまう。イザナギは、イザナミを死者の国である黄泉の国から連れ戻すために、地の底へと続く暗い道へと降りて行く。しかし、イザナギが地の底に辿り着く前に、イザナミは黄泉の国の食物を食べてしまい、地上へ戻ることができなくなっていた。死者の国の醜い姿をイザナギに見られたイザナミは、イザナギを地上に帰すまいと、雷神たちを送り、イザナギを捕らえようとする。何とか地上に逃げ帰ったイザナギは、地上の世界と黄泉の国を結ぶ扉を、大きな岩で塞ぎ、二つの世界を断絶したのであった。
本作品では、神話の三つの世界(天、地上、黄泉の国)を、クラリネットの三つの音域で表している。三つの音域は全て、独特の音色を誇っている。高音域は、比較的まろやかで、景色を見下ろしているかのような雰囲気を醸し出す。中音域は、意気溢れる情景を表現している。そして、シャルモー音域は、暗く、空気音がよく聞こえる音域でもある。イザナギの体験同様、三つの音域がそれぞれ重なり合い、絡み合っていく情景を描いた作品である。

Jean-Patrick Besingrand

ジャン=パトリック・ベジングラッド(1985-) 作曲家、音楽学者。仏ボルドー大学、仏ボルドー音楽院、米カーネギーメロン大学にて学位を取得。現在、米ニューヨーク市立大学と仏パリ・ソルボンヌ大学にて、作曲と音楽学の博士課程に在籍している。音色と時間性を主なコンセプトに、音楽を創造する。 また、空気の摩擦音など、自然音などをも積極的に作品に盛り込んでいる。作品は、世 界中の音楽祭や作曲コンクールで高い評価を得ている。これまでに、Court-Circuit、Dal Niente、Mivos Quartet、Molinari Quartet、Platypus、Mise- En、Contemporaneousなどのアンサンブルや、T.ピアシー、末廣由美、V.イヴァンチェフ など、著名なソリストによって作品が演奏されている。 詳しくはhttps://jeanpatrickbesingrand.comをご覧下さい。

Thomas Piercy (Clarinet)

北米、南米、ヨーロッパ、アジア全土においてその演奏が高く評価されているクラリネット奏者、Thomas Piercyは、オーケストラ、コンチェルト、ソロそして室内楽のフィールドで活躍中。現代音楽の演奏家として知られるThomas Piercyは、作曲家から作品の演奏依頼を受け数多くのプレミア公演をし、ここ三年間でニューヨークと東京でプレミア公演した作品数は40を超える。「確実なストップをとらえていながらも情熱にあふれている」とThe New York Timesに描写された奏者は、スタンダードなクラシック音楽をはじめ、ジャズ色の強いプログラムやコンテンポラリーな作品、彼のために作曲された作品、 彼自身によるアレンジ、作曲、コラボレーションなど幅の広いエキサイティングなコンサートで活動。
確かな演奏技術により、既存のカテゴリーの枠を超えた幅の広い演奏活動を続け、各界からの厚い信頼を受けている。レコーディングに参加した『Juno Baby』CD/DVDはエミー賞を受賞し、グラミー賞受賞タンゴ・ヌエボ・ピアニストOctavio Brunettiとグラミー賞にノミネートされたベーシストPablo Aslanとの共演をはじめ、メゾ・ソプラノFrederica von Stadeとはモーツァルト作品で共演、Raoul Julia氏が出演したブロードウェイ作品の演奏、レナード・バーンスタイン氏指揮下での演奏、ラップ・アーティストKRS-ONEのプロモーションビデオに俳優として出演、またマルーン5のメンバーのレコーディングでは各種楽器の演奏をこなした。またディレクター、音楽ディレクター、指揮者としても活躍している。その他にもテレビ・ラジオ番組、コマーシャルをはじめ映画などのサウンドトラックレコーディングにおいてもレコーディングに参加している。